第二新卒の転職は、早く辞めたこと自体よりも「次は同じことにならないか」を説明できるかどうかで進み方が変わります。この記事では、第二新卒の定義と早期離職の実態を統計で確かめたうえで、1 社目のミスマッチを繰り返さないための進め方と、転職理由の例文をまとめます。
読み終えるころには、合わなかったことを言葉にし、次の会社で何を確かめればよいかが手元に残るはずです。
第二新卒とは?いつまで・何歳までの目安
第二新卒とは、学校を卒業して一度就職し、おおむね 3 年以内に転職を考えている人のことです。法律で決まった言葉ではないので、範囲は会社や求人によって少しずつ違います。
たとえばマイナビの調査では、第二新卒を「学校を卒業しておおむね 3 年以内の就労経験者で、既卒未就労者は含まない」としています[5]。年齢ではなく、卒業してからの年数で考えるのが一般的です。
- 第二新卒
- 卒業後おおむね 3 年以内に、一度就職した経験がある人のこと。
- 既卒
- 卒業後、正社員として就職した経験が無い人のこと。第二新卒とは分けて呼ばれることが多い。
- 早期離職
- 入社して間もなく(よく使われるのは 3 年以内)会社を辞めること。厚生労働省の統計も「就職後 3 年以内」で数えている。
厚生労働省の指針は、卒業後少なくとも 3 年間は新卒の採用枠に応募できるようにすることを企業に求めています[6]。そのため第二新卒は、新卒枠と中途枠の両方が選べる場合があります。実際の応募条件は企業ごとに違うので、募集要項で確かめましょう。
早期離職はめずらしい?大卒の 3 人に 1 人が 3 年以内に離職
めずらしくありません。厚生労働省によると、令和4年(2022 年)3 月に大学を卒業して就職した人のうち、3 年以内に辞めた人は 33.8% でした[1]。2026 年 10 月はじめの時点で公表されている中では、これが最新の数字です。
この割合は、ここ数年 3 割を少し超えたところで続いています[2]。1 社目で「思っていたのと違った」と感じるのは、あなただけではありません。
数値を表で見る
| 卒業 | 3 年以内の離職率(大卒) |
|---|---|
| 2017 年(平成29年)3 月卒 | 32.8% |
| 2018 年(平成30年)3 月卒 | 31.2% |
| 2019 年(平成31年)3 月卒 | 31.5% |
| 2020 年(令和2年)3 月卒 | 32.3% |
| 2021 年(令和3年)3 月卒 | 34.9% |
| 2022 年(令和4年)3 月卒 | 33.8% |
辞めた時期を見ると、1 年目がいちばん多く、2 年目、3 年目と続きます[3]。
辞めた理由は「労働時間」と「人間関係」が上位
厚生労働省の 2023 年の調査で、初めて勤めた会社を辞めた理由(3 つまで選ぶ)を見ると、労働時間・休日・休暇の条件と人間関係が上位でした[4]。同じ調査では、勤めた期間が 1 年未満の人では「人間関係」がいちばん多くなっています[4]。
数値を表で見る
| 辞めた理由 | 割合 |
|---|---|
| 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった | 28.5% |
| 人間関係がよくなかった | 26.4% |
| 賃金の条件がよくなかった | 21.8% |
| 仕事が自分に合わない | 21.7% |
勤め先の規模によっても離職率は違います。大卒では、規模が小さい事業所ほど 3 年以内の離職率が高い傾向があります[1]。
| 事業所の規模 | 離職率 |
|---|---|
| 5 人未満 | 57.5% |
| 5〜29 人 | 52.0% |
| 30〜99 人 | 41.9% |
| 100〜499 人 | 33.9% |
| 500〜999 人 | 31.5% |
| 1,000 人以上 | 27.0% |
ただし、これは平均の話です。規模が小さくても長く働ける会社はあり、大きな会社でも部署によって合う・合わないは分かれます。数字は「会社選びで何を確かめるか」を考える手がかりとして使いましょう。
第二新卒の転職は難しい?企業の見方
第二新卒を採りたい企業は増えていて、「難しい」と決めつける必要はありません。マイナビが企業の採用担当者 2,101 人に聞いた調査では、第二新卒の採用を「実施している」が 60.9% で、従業員 1,000 人以上の企業では 74.5% でした[5]。今後、採用数を増やすと答えた割合は 37.0% です[5]。
同じ調査で、企業が第二新卒に求めるものは「人柄・性格」がもっとも多く挙がっていました[5]。経験の短さよりも、どんな人で、どう働きたいかを見られていると言えます。
国の指針も、過去の就業形態や離職状況、卒業の時期にとらわれず、人物本位で評価するよう企業に求めています[6]。
面接でよく確かめられること
一方で、面接では辞めた理由をほぼ必ず聞かれます。企業が知りたいのは、責める材料ではなく「うちに来ても同じ理由で辞めないか」です。だからこそ、次の 2 つの節で、合わなかったことを言葉にし、次の会社で確かめておくことが役に立ちます。
辞める前に、合わなかったことを 4 つに分けて書き出す方法
まず、「なんとなく合わない」を、会社・仕事・人・条件の 4 つに分けて書き出します。分けると、転職で変わるものと、転職しても変わらないかもしれないものが見えてきます。
| 分類 | 書き出す例 | 転職の前に考えたいこと |
|---|---|---|
| 会社 | 事業の方針・評価のしかた・社風が合わない | 会社が変われば変わる。次の会社の方針を確かめる |
| 仕事 | 仕事の中身・向き不向き・やりがいを感じない | 異動や担当替えで変わることもある。上司に相談の余地はあるか |
| 人 | 上司や同僚との関係、チームの雰囲気 | 部署や上司が変われば変わることもある。社内で相談できる人はいるか |
| 条件 | 残業・休日・給与・勤務地・通勤 | 数字で比べられる。次の会社で実際の数字を確かめる |
書き出したら、それぞれの不満を次の会社に聞く問いに言いかえます。「残業が多くてつらかった」なら「繁忙期の残業は実際どのくらいか」、「仕事が合わなかった」なら「入社 1 年目は具体的に何をするのか」です。
体や心の調子が悪いとき
眠れない、朝起きられないといった状態が続くときは、書き出しや転職活動より、休むことと相談を先にしてください。社内の産業医や、職場の外の相談窓口を頼ってよいのです。
次の会社で同じミスマッチを避ける確かめ方
前の節で作った問いを、求人票・面接・職場の情報・働く人の声で確かめます。1 つの方法だけに頼らず、2 つ以上で確かめると思い込みを減らせます。
| 確かめること | どこで確かめるか | 聞き方・見方の例 |
|---|---|---|
| 入社後 1 年の仕事の中身 | 面接・カジュアル面談 | 「入社 1 年目の方は、1 日をどう過ごしていますか」 |
| 残業・休日の実際 | 求人票・職場情報・面接 | 月平均の残業時間と、繁忙期にどれくらい増えるか |
| 早く辞める人の多さ | 職場情報・面接 | 過去 3 年の新卒の採用数と離職数 |
| 一緒に働く人・上司 | 面接・社員との面談・動画 | 配属先の人数と年齢層、相談のしかた |
| 教育・独り立ちまで | 職場情報・面接 | 研修の内容、独り立ちまでのおおよその期間 |
| 評価と給与の決まり方 | 面接・求人票 | 何ができると給与が上がるのか |
新卒枠なら「職場情報の提供」を使える
新卒者等を対象にした募集では、若者雇用促進法により、応募者や応募しようとする人から求めがあれば、企業は職場情報を出す義務があります[7]。新卒者等には、学校の卒業者も含まれます[8]。
出す情報は「募集・採用」「能力の開発」「雇用管理」の 3 つの区分から、それぞれ 1 つ以上です。過去 3 年の新卒の採用者数・離職者数、平均勤続年数、研修の内容、前年度の月平均の残業時間や有給休暇の平均取得日数などが項目に挙がっています[8]。どの項目を出すかは企業が選べるので、知りたい項目があれば、その項目を名指しして聞いてみましょう。
働く人の動画で「大変なこと」を見ておく
文字の求人票では、仕事の大変さや職場の空気は伝わりにくいものです。働く人が自分の言葉で話している動画を見ると、話し方や表情から、面接だけでは分からない様子がつかめます。
動画で就職では、「大変なことは?」「残業や休みは実際どう?」のような問いから、働く人がその話をしている場面を探して、そこから再生できます。1 社目で合わなかったことに近い問いから見てみると、比べやすくなります。
転職理由の伝え方と例文
転職理由は、「事実 → 学んだこと → 次にしたいこと」の順に組み立てると、前の会社を悪く言わずに前向きに伝えられます。不満そのものではなく、その経験から分かった「自分が大事にしたいこと」を話すのがコツです。
伝わりにくい言い方
- 残業が多すぎて、とても続けられませんでした
- 上司と合わなかったので辞めました
- やりたい仕事ではありませんでした
伝わりやすい言い方
- 働き方を見直し、長く続けられる環境で力を出したいと考えました
- チームで相談しながら進める働き方が自分に合うと分かりました
- 1 年働いて、〜の仕事にもっと関わりたいと気づきました
以下は書き方の例です(実在の人の話ではありません)。自分の経験に合わせて、具体的な仕事の中身に置きかえてください。
例: 労働時間が合わなかった場合
例
前職では店舗の運営を担当し、繁忙期には残業が続く働き方でした。その中で、お客様の声を集めて売り場を改善する仕事に、いちばんやりがいを感じました。これからは、働く時間を自分で調整しながら、改善の提案に腰を据えて取り組める環境で、長く経験を積みたいと考えています。
例: 仕事の中身が合わなかった場合
例
前職では法人営業として、新しいお客様を開拓する仕事をしていました。1 年続けて、契約を取ることより、契約後にお客様の困りごとを一緒に解決する場面で力を出せると気づきました。御社のカスタマーサクセスの仕事で、長くお付き合いするお客様を支えたいと考えています。
例: 人間関係・チームの進め方が合わなかった場合
例
前職では、一人ひとりが担当を持って個別に進める働き方でした。その中で、困ったときに相談し合いながら進めたときのほうが、成果も出せて自分も成長できると感じました。チームで情報を共有しながら進める御社の働き方の中で、力をつけていきたいと考えています。
ポイント
例文の最後の「次にしたいこと」は、応募先で本当にできることかを、前の節の確かめ方で確かめてから話しましょう。確かめた内容が、そのまま志望動機の根拠になります。
AI で 1 社目を振り返るプロンプト
ChatGPT や Claude などの生成 AI は、頭の中のもやもやを言葉にする相手として使えます。答えを出してもらうより、質問してもらう使い方のほうが、自分の考えが整理されます。
あなたはキャリアの相談の聞き手です。
私は新卒で入った会社を、
入社 1〜3 年目で辞めるか考えています。
次のルールで、私に質問してください。
・質問は 1 回に 1 つだけ
・私が答えてから次の質問をする
・「会社」「仕事」「人」「条件」
(残業・休日・給与・勤務地)の 4 つで、
合わなかったことと、
よかったことの両方を聞く
・答えがあいまいなときは、
具体的な場面を聞き返す
・10 問ほど聞いたら、次の 3 つを
箇条書きでまとめる
1. 合わなかったことを 4 つに分けた一覧
2. 次の会社に確かめたい問い(5 つ)
3. 社内で解決できるかもしれないこと
・私の代わりに結論を決めない
AI を使うときの注意
会社名・上司や同僚の名前・社内の情報は入力しないでください。また、AI が書いた転職理由をそのまま面接で話すと、深く聞かれたときに自分の言葉で答えられません。まとめは下書きとして使い、最後は自分の言葉に直しましょう。
第二新卒の転職の進め方
ここまでの内容を、実際の順番に並べると次のようになります。急いで決めるより、1 と 2 に時間をかけるほうが、次の会社選びで迷いにくくなります。
- 合わなかったことを書き出す
会社・仕事・人・条件の 4 つに分けます。社内の異動や相談で変わるものがないかも考えます。
- 次の会社に聞く問いを作る
不満を問いに言いかえ、「これだけは確かめる」ものを 3 つほどに絞ります。
- 応募の枠を決める
新卒枠に応募できるか、中途枠で応募するかを、求人ごとに確かめます。
- 情報を集めて比べる
求人票・職場情報・働く人の動画・面談で、作った問いを 2 つ以上の方法で確かめます。
- 転職理由と志望動機を組み立てる
事実 → 学んだこと → 次にしたいこと の順にまとめ、声に出して練習します。
- 内定後に退職の手続きをする
就業規則で退職の申し出の時期を確かめ、引き継ぎの予定を立てます。
1 社目で合わなかった経験は、次の会社選びで何を確かめるべきかを教えてくれる材料です。焦らず、一つずつ確かめていきましょう。


