AI面接の対策は、「話す材料」と「受ける環境」を前日までにそろえ、AIを相手に一度練習しておくことに尽きます。この記事では、初めてAI面接を受ける人に向けて、仕組み・見られていること・準備の手順・練習のプロンプトを順番にまとめます。

2027年卒の学生では、28.2%がすでにAI面接を受けたことがあります[1]。「何をされるのか分からない」不安は、中身を知るとかなり小さくなります。

AI面接とは?対話型と録画型の違い

AI面接とは、人の面接官の代わりにAIが質問したり、回答を分析したりする選考のことです。大きく分けて、AIと会話する「対話型」と、出された質問に答える自分を録画して送る「録画型」があります。

どちらもスマートフォンやパソコンで、好きな時間に受けられるものが多いです。たとえば対話型のSHaiNは、24時間365日いつでも受けられ、標準の面接は7項目・30〜40分ほどと公開されています[5]。

対話型AI面接
AIが質問し、答えに合わせて「それはなぜ?」「そのとき何をした?」と深掘りしてくる形式のこと。
録画型(録画面接)
画面に出た質問に、決められた時間内で答える様子を録画して提出する形式のこと。AIが分析する場合と、人が後で見る場合がある。
対話型と録画型の違い(一般的な傾向。細かい仕様は企業・サービスごとに違う)
項目対話型録画型
進み方AIが答えに合わせて追加で質問する決まった質問に順に答える
時間30分前後かかるものもある1問ごとに答える時間の上限があることが多い
やり直しできないことが多い設定によっては撮り直せる
難しいところ深掘りに具体的に答え続けること決められた秒数で話をまとめること
準備の中心エピソードを「なぜ・どうやって」まで掘っておく1分で話せる形に削って声に出して練習する

AI面接では何が見られている?

公表されている範囲では、過去の行動を具体的に話せるかと、それにあらわれる資質が見られています。ただし、評価の細かい計算方法は多くのサービスで公開されていません。ここでは「公表されていること」と「推測」を分けて書きます。

公表されていること

  • SHaiNは、約4万件の面接データをもとに東京大学との共同研究で開発した評価の仕組みを使い、評価の根拠を説明できるようにしていると発表しています[4]。
  • 評価する資質には、従来の10資質に加えて、コミュニケーション能力・主体性・チャレンジ精神・協調性・誠実性などの8種類のコンピテンシーが挙げられています[3]。
  • 受検の結果として、動画・音声と、回答内容をテキストにしたものが企業に渡ると説明されています[5]。

推測できること(公表はされていない)

  • 回答がテキストになるので、話の中身(何を、なぜ、どうしたか)が評価の中心になると考えられます。表情や声の印象がどこまで点数に入るかは、サービスによって違い、外からは分かりません。
  • 答えが短く抽象的だと、評価の材料そのものが少なくなります。「頑張りました」で終わらず、行動と結果まで話すほうが有利だと考えられます。

補足

AI面接でも、本籍・家族のこと・支持政党や宗教など、本人の適性や能力と関係のない事柄で判断するのは、厚生労働省が示す「公正な採用選考」の考え方に反します[6]。そうした質問が出ても、答える義務はありません。

AI面接はどれくらい広がっている?

AI面接は、ここ数年で受ける人も導入する企業もはっきり増えています。2027年卒の学生は84.9%が就活でAIを使い、28.2%がAI面接を受けた経験があります[1]。

28.2%AI面接を受けたことがある2027年卒の学生出典: マイナビ(2026年4月調査、n=1,258)[1]
2.0社AI面接を受けた学生の、受けた社数の平均出典: 同上[1]
1,100社対話型AI面接SHaiNの導入企業(2026年7月)出典: タレントアンドアセスメント[3]

導入する企業の側も増えています。SHaiNの導入企業は、サービス開始(2017年10月)から約2年で100社、2024年4月ごろに500社、2026年3月に1,000社、2026年7月に1,100社と伸びています[3][4]。利用は新卒採用36.5%、中途採用32.4%、アルバイト採用21.1%と、転職やアルバイトの選考でも使われています[3]。

0 400 800 1,200 約100 500 900 1,000 1,100 2018 2020 2022 2024 2026
図 1: 対話型AI面接SHaiNの導入企業は、約7年で約11倍に(単位: 社。出典: タレントアンドアセスメントの発表[3][4])
数値を表で見る
時期導入企業数
2017年10月(提供開始)0社
提供開始から約2年(2019年ごろ)100社
2024年4月ごろ500社
2025年10月900社
2026年3月1,000社
2026年7月1,100社

学生はAI面接をどう受け止めている?

受け止め方は分かれていますが、「理由が分かるなら納得できる」という声が多いのが最近の調査の特徴です。2027年卒の調査では、AI面接を案内されると受験意欲が下がる学生が51.1%で、理由は「人に評価してほしいから」55.2%、「AI(機械)に判断されたくないから」50.9%でした[1]。一方で、意欲が高まる理由には「緊張しなさそうだから」(50.6%)が挙がっています[1]。

2028年卒を対象にした別の調査では、次のような結果が出ています[2]。

評価の理由を開示してほしい 67.0% 最後は人が判断なら納得が増す 66.4% 多くの企業の面接を受けられる 56.5% 理由つきのAI面接のほうが納得 55.7% AIの結果だけの合否は納得できない 36.9% 2028年卒の学生 n=352(2026年8月調査)
図 2: 28卒の学生は「AIの評価の理由を知りたい」が最多(出典: レバレジーズ 2026年9月発表[2])
数値を表で見る
項目(調査の質問の要約)割合
不採用のとき、理由やAIの評価のフィードバックを開示してほしい67.0%
最終的な合否は必ず人が判断すると明言されれば、納得感が向上する66.4%
より多くの企業の面接を受けられるようになった(なりそう)56.5%
理由が説明されるAI面接のほうが、理由が説明されない人の面接より納得できる55.7%
AI面接の結果だけで採用の可否が決まることに納得できない36.9%

「AIに判断されるのは不安」と感じるのは、あなただけではありません。気になるなら、AIの評価をどう使うのか、最後は人が判断するのかを企業に聞いてかまいません。答えが分かるだけで、気持ちよく受けられることもあります。

AI面接の対策は?前日までにする5つの準備

準備は「話す材料」「受ける環境」「練習」の3つです。次の順で進めると、前日までに終わります。

  1. 案内のメールを読み込む

    受検の期限、所要時間、使う機器(スマホかパソコンか)、やり直しの可否、カンペや服装の指定を確かめます。分からない点は、この時点で企業に問い合わせておきます。

  2. エピソードを3つ用意する

    学生時代に力を入れたこと、困難を乗り越えたこと、人と協力したこと、の3つを基本にします。転職なら、前の職場での仕事と結果に置き換えます。

  3. 各エピソードを「なぜ・どうやって・結果」まで掘る

    「なぜそれをやろうと思ったか」「何が一番難しかったか」「自分は具体的に何をしたか」「結果はどうだったか(数字があれば数字で)」「次に生かしたこと」を、メモに書き出します。対話型の深掘りは、ほぼこの順で来ると考えておくと慌てません。

  4. 環境を整えて、一度カメラに映す

    静かな部屋、顔が明るく映る照明(窓を正面に)、片付いた背景、安定した通信。スマホなら充電と通知のオフ、固定する台も用意します。実際に録画して、声の大きさと映り方を見ておきます。

  5. 声に出して練習する

    頭の中で考えるのと、声に出して話すのとでは全く違います。次の節のプロンプトでAIに面接官役を頼み、最低1回は通しで練習します。録画型なら、1問を1分ほどで話す練習を何度かしておきます。

深掘り質問の例。力を入れたことは?から、なぜ取り組んだ?何をした?難しかったことは?結果と学びは?へと4回掘られ、それぞれに答えを用意しておく図
図 3: 1つのエピソードに、深掘りされたときの答えを4つ用意しておく(答えの中身は例)

ポイント

話す材料は、AI面接でも人の面接でもそのまま使えます。AI面接のために作ったエピソードのメモは、その後の面接の準備にもなります。人の面接で企業のことを確かめたい人は、選考の進み方を、働く人が話している動画から探すこともできます。

AI面接の当日チェックリスト

当日は、始める前の5分で次の表を確かめるだけで、多くのトラブルは防げます。

受ける場所の整え方の図。窓を正面にして光を顔に当て、カメラを目の高さに固定し、背中側は片付いた壁にする
図 4: 光は正面から、カメラは目の高さ、背中側は片付いた壁に
AI面接を始める前のチェックリスト
確かめること目安
時間所要時間+15分の余裕がある時間帯を選んだ
通信Wi-Fiが安定している。動画の読み込みで止まらない
機器充電80%以上か電源につないだ。通知・着信をオフにした
カメラ目の高さに固定した。顔が画面の中央に、明るく映る
音周りが静か。イヤホンを使うならマイクの音を確かめた
服装・背景案内の指定どおり。背景に私物や他人が映らない
手元要点のメモ(単語だけ)と水。原稿はしまった

話すときは、結論から話し、1つの答えを30秒〜1分にまとめると伝わりやすくなります。言葉に詰まったら、「少し考えさせてください」と一言はさんでから話して大丈夫です。

AI面接の練習をAIでする方法は?

ChatGPTやClaudeなどの生成AIに面接官役を頼むと、対話型AI面接に近い深掘り質問を何度でも受けられます。次のプロンプトは、そのまま貼り付けて使えます。

あなたは新卒採用の面接官です。これから私とAI面接の練習をします。
次のルールを守ってください。

- 質問は1回に1つだけ。私が答えるまで次の質問をしない
- 最初に「学生時代に力を入れたこと」を聞く
- 私の答えに対して「なぜ」「具体的に何をしたか」「結果はどうだったか」
  「難しかった点は」の順で、最低3回は深掘りする
- 答えが抽象的なら「たとえば?」と聞き返す
- 合計5問ほどで終わり、最後に次の3点を短く伝える
  1. 具体性が足りなかった答えと、その理由
  2. 話が長すぎた・短すぎた答え
  3. 次に練習するとよいこと

私の状況: (例: 大学3年、志望は食品メーカーの営業。転職の場合は前職と希望職種を書く)

音声で話せるアプリなら、声に出して答えるとより本番に近づきます。録画型の練習なら、プロンプトの最後に「1つの答えは1分以内とし、長すぎたら指摘して」と足しておきます。

注意

AIが書いた模範解答を覚えて話すのはやめておきましょう。深掘りされると自分の言葉で続けられず、かえって不自然になります。AIには「質問する役」と「フィードバックする役」だけを頼み、答えは自分の経験から作るのが安全です。本番中に別の画面でAIに答えを作らせるのは、多くの企業で不正行為として扱われると考えてください。

AI面接で困ったときはどうする?

困ったときは、一人で抱えずに企業の採用担当に連絡するのがいちばん早い解決策です。よくある場面ごとに、できることをまとめます。

AI面接で困ったときの対応
場面できること
途中で通信が切れた画面の案内に従って再開を試し、駄目なら日時と状況を書いて企業に連絡する
家族や本籍、思想に関わる質問が出た答えなくてよい。気になったら企業や大学のキャリアセンター、ハローワークに相談する[6]
AIの評価のされ方が不安評価をどう使うか、最終判断は人がするのかを、受ける前に問い合わせる
障害や事情でAI面接が受けにくい配慮や別の方法での選考ができないか、早めに相談する

AI面接は、時間や場所を選ばずに受けられる分、準備した人とそうでない人の差が出やすい選考です。エピソードを3つ掘り、環境を整え、一度AI相手に練習する。この3つをしておけば、初めてでも落ち着いて受けられます。