就活で AI(ChatGPT や Claude などの生成 AI)を使う学生は、2027 年卒で 8 割を超えました。この記事では、自己分析・ES の推敲・面接練習にそのまま使えるプロンプトと、企業が学生の AI 利用をどう見ているか、AI に任せてはいけない場面をまとめます。

読み終えるころには、今日から AI を「代わりに書く道具」ではなく「考えを引き出す相手」として使い始められるはずです。

就活で AI はどれくらい使われている?

マイナビの調査では、2027 年卒の学生の 84.9% が就活で AI を使ったことがあると答えました[1]。1 年前の 2026 年卒は 66.6% だったので[2]、就活での AI 利用は 1 年で約 18 ポイント増えています。

2026 年卒 66.6% 2027 年卒 84.9% 各年 4 月下旬の調査。26 年卒 n=1,385、27 年卒 n=1,258
図 1: 就活で AI を使った学生は 1 年で 66.6% → 84.9% に(出典: マイナビ 大学生キャリア意向調査4月[1][2])
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卒業年就活で AI を使った割合調査時期・人数
2026 年卒66.6%2025 年 4 月 25〜30 日・1,385 名
2027 年卒84.9%2026 年 4 月 25〜30 日・1,258 名

使い道でいちばん多いのは ES の推敲で 71.8%、次が面接対策で 38.4% でした[1]。使う理由は「作業時間の短縮」が 54.3% で最多です。別の調査でも、AI を使った就活生の 9 割が「メリットがあった」と答えています[4]。

つまり、AI を使うこと自体はもう珍しくありません。差がつくのはどう使うかです。

企業は就活生の AI 利用をどう見ている?

企業の 7 割は、学生が AI を使うことを認めています。マイナビの企業調査(2025 年 6 月、3,068 社)では、「慎重に検討した上で活用してほしい」が 64.1%、「積極的に活用してほしい」が 6.9% でした[3]。

一方で、学生の AI 利用に合わせて選考を見直す企業も出てきています。

対応の必要を感じない 40.6% 面接での質問を工夫 26.0% ES の内容を精査 10.8% 面接官の教育を強化 5.7% n=3,068 社(2025 年 6 月、複数回答)
図 2: 学生の AI 利用に対し、企業の 4 社に 1 社は面接での質問を工夫している(出典: マイナビ 2026年卒企業新卒採用活動調査[3])
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企業の対応割合
対応の必要性を感じていない40.6%
面接での質問を工夫26.0%
エントリーシートの内容を精査10.8%
面接官の教育強化5.7%

企業の関心は「AI を使ったかどうか」より、書いてあることが本当にその人のものかに向いています。ES で書いたことを面接で深く聞かれたとき、自分の体験から話せるかどうかで見ていると考えると、準備の仕方がはっきりします。

就活で AI を使う前に決めておく 3 つのルール

AI を使う前に、次の 3 つだけ決めておくと、失敗のほとんどを避けられます。

  1. 個人情報を入れない

    氏名・住所・電話番号・学籍番号や、友人や家族など他人の情報は入れません。個人情報保護委員会は、入力した個人情報が AI の学習に使われ、不正確な形で出力されるおそれがあると注意を呼びかけています[5]。サービスの利用規約やプライバシーポリシー、学習に使わせない設定も確かめておきましょう。

  2. 事実は自分で確かめる

    AI の答えには、もっともらしい間違いが混ざることがあります[5]。企業の事業内容・制度・数字は、必ず企業の公式サイトや採用ページで確かめます。

  3. 最後は自分の言葉で書く

    AI が出した文章をそのまま貼らず、自分が話すときの言い回しに直します。声に出して読み、言いにくいところは自分の言葉ではないサインです。

ポイント

プロンプトの 【 】 の中は、自分の情報に置き換えてください。名前や学校名は「A さん」「B 大学」のように伏せても、答えの質はほとんど変わりません。

自己分析に使えるプロンプト(AI に質問してもらう)

自己分析では、AI に答えを出させるより、AI に質問してもらう使い方が向いています。自分で答えるので、出てきた言葉がそのまま ES や面接の材料になります。

AI に書かせると面接で詰まりやすく、質問させて自分で書くと自分の言葉と体験が残ることを比べた図
図 3: AI に「書かせる」より「質問させる・指摘させる」ほうが、自分の言葉が残る

深掘りの質問をしてもらう

あなたは就職活動のキャリアアドバイザーです。
私の自己分析を手伝ってください。

・質問は 1 回に 1 つだけしてください
・私の答えに対して「なぜ?」「具体的には?」と 3 回ほど深掘りしてください
・10 問ほど終わったら、私の答えから見える「大事にしている価値観」を 3 つ、
  根拠になった私の発言と一緒にまとめてください
・私が言っていないことを付け足さないでください

最初の質問は「学生時代にいちばん時間を使ったこと」から始めてください。

就活の軸を言葉にする

次は、これまでの経験で「楽しかったこと」と「つらかったこと」のメモです。
【メモを貼る(箇条書きでよい)】

このメモから、私が仕事選びで大事にしたい条件(就活の軸)の候補を
5 つ挙げてください。それぞれに、どのメモから考えたかを書いてください。
最後に、軸どうしがぶつかりそうな組み合わせがあれば教えてください。

「ぶつかりそうな組み合わせ」を聞いておくと、たとえば「安定」と「早く成長したい」のどちらを優先するかを、面接の前に自分で決めておけます。

ES の推敲に使えるプロンプト(書かせずに直させる)

ES では、AI にゼロから書かせず、自分の下書きを直させるのが基本です。下書きが自分の体験から出ていれば、面接で深掘りされても答えられます。

読み手の目で指摘してもらう

あなたは新卒採用の担当者です。
次の ES(設問:「学生時代に力を入れたこと」400 字以内)を読んで、
書き直しはせずに、指摘だけをしてください。

1. 読んで伝わらないところ、意味があいまいなところ
2. 具体的な数字や場面が足りないところ
3. 面接で深く聞きたくなるところ(質問の形で 3 つ)

【自分で書いた ES を貼る】

字数を合わせる

次の文章を 300 字以内に縮めてください。
・私の体験や数字は消さないでください
・新しいエピソードや、私が書いていない表現を足さないでください
・縮めるために削った部分を、最後に箇条書きで教えてください

【文章を貼る】

「削った部分を教えて」と頼むと、大事な話が知らないうちに消えるのを防げます。

例: 指摘を受けて自分で直すと

直す前(例)

  • サークルの代表として、メンバーをまとめることに力を入れました。
  • コミュニケーションを大切にし、チームの雰囲気が良くなりました。

直した後(例)

  • 30 人のサークルで、練習の出席が半分ほどに落ちたとき、全員と 10 分ずつ話しました。
  • 練習の曜日を 2 つから選べる形にし、3 か月で出席が 8 割に戻りました。

AI の指摘は「具体的な数字や場面が足りない」という一言でも、何を思い出せばよいかの手がかりになります。数字と場面を足すのはあなた自身で、AI にそれらしい数字を作らせてはいけません。

志望動機の材料は、AI の外で集める

志望動機は、AI がいちばん「どこかで見た文章」にしやすいところです。材料が足りないときは、AI に頼む前に、その会社で働く人の話を見聞きしておくと、自分の言葉で書ける手がかりが見つかります。

動画で就職のトップ画面。「知りたいこと・職種・会社名」を入れる検索の入力欄と、勤務地の選択と、探すボタンがある
図 4: 動画で就職では、「残業は実際どう?」のような知りたいことを入れると、働く人が答えている場面から見られる

説明会や OB・OG 訪問で聞いた言葉、働く人の動画で印象に残った場面をメモしておき、そのメモを AI に渡して「この中から私が共感した理由を質問して」と頼むと、志望動機の芯が見えてきます。

面接練習に使えるプロンプト

面接練習では、AI に面接官の役をしてもらいます。声に出して答え、音声入力で返すと本番に近い練習になります。

模擬面接をしてもらう

あなたは【業界・職種】の会社の一次面接の面接官です。
私の ES は次のとおりです。
【ES を貼る】

・質問は 1 つずつしてください
・私の答えに対して、ES との食い違いや、あいまいなところを深掘りしてください
・5 問終わったら、良かった点 2 つと、直すとよい点 2 つを
  具体的な私の発言を引用して伝えてください
・厳しめの面接官としてふるまってください

逆質問を準備する

【会社名】の採用ページに書かれていた内容は次のとおりです。
【採用ページの文章を貼る】

この会社の面接の最後にする逆質問を 5 つ考えてください。
・採用ページを読めば分かることは聞かないでください
・入社後の働き方(1 日の流れ、残業、若手の任され方)が分かる質問にしてください

AI が出す逆質問は、どの会社にも当てはまるものになりがちです。最後に、自分がいちばん気になっていることに 1 つ置き換えると、面接官にも本気度が伝わります。

AI に任せてはいけない場面は?

AI に任せてはいけないのは、中身(体験・事実・判断)に関わるところです。形を整えることは任せてよく、何を書くか・どこを選ぶかは自分で決めます。

場面ごとの、AI に任せてよいことと自分でやること
場面AI に任せてよいこと自分でやること
自己分析質問を出す、答えを整理する質問に答える、価値観を決める
ES読みにくい所の指摘、字数合わせ、誤字の確認エピソード選び、下書き、最後の言い回し
企業研究調べる観点の洗い出し、業界の用語の説明事業内容・制度・数字を公式の情報で確かめる
面接面接官役、答え方へのフィードバック本番での受け答え(カンペとして使わない)
Web テスト(使わない)企業の指示に従って自分で解く

注意

Web テストや、本人が受けることが前提の録画面接・AI 面接で AI に答えさせるのは、本人の力を見るという選考の前提を崩します。多くの場合は受検の注意事項で禁じられているので、受ける前に必ず読んでおきましょう。

もう 1 つ気をつけたいのは、AI の文章はどうしても似通うことです。同じような設問に、同じような言い回しの ES が集まれば、読み手の印象には残りません。具体的な数字・場面・そのとき考えたことは、あなたにしか書けない部分です。

今日から始める 4 ステップ

最初から全部やらなくて大丈夫です。次の順で、1 日 1 つずつ試してみてください。

  1. 深掘りの質問をしてもらう

    自己分析のプロンプトで 10 問ほど答え、出てきた価値観をメモに残します。

  2. ES の下書きを 1 本書く

    上手でなくてかまいません。自分の体験を、思い出せる数字と場面つきで書きます。

  3. AI に指摘してもらい、自分で直す

    指摘を読んで、直すかどうかは自分で決めます。声に出して読み、言いにくい所を直します。

  4. その ES で模擬面接をする

    深掘りされて詰まった所が、本番までに考えておく所です。

AI は、考える時間を減らす道具ではなく、考えを深める時間を増やす道具として使うと効きます。ほかの準備の記事は記事の一覧から探せます。