「選考ではありません。まずはお気軽にお話ししませんか」。スカウトや求人サイトでカジュアル面談に誘われると、何を着て、何を話して、どんな質問をすればいいのか、急に分からなくなります。

先に私たちの考えを書いておきます。カジュアル面談は、自分を売り込む場というより、この会社の選考を受けるかどうかを自分で決めるための 30 分です。だから準備するのは、自己 PR より、確かめたいことのリストです。

カジュアル面談とは、選考の前に会社と話してお互いを知る場のこと

カジュアル面談とは、選考や評価を目的とせず、企業と求職者が気軽に話して理解を深める場のことです[1]。中途採用ではすでに広く使われていて、2026 年の調査では、キャリア採用でカジュアル面談を実施している企業が 52.7% でした。20 代の転職希望者の 85.1% は「参加したい」(「どちらかというと」を含む)と答えています[1]。

面接

  • 会社が、あなたを採るかどうかを決める
  • 主に話すのはあなた
  • 履歴書・職務経歴書、志望動機を用意する
  • 終わると合否の連絡が来る

カジュアル面談

  • あなたが、選考を受けるかどうかを決める
  • 会社の側もたくさん話す
  • 書類はふつう要らない。聞きたいことを用意する
  • 終わったら、選考に進むかを自分で伝える

「カジュアル面談で落ちることはある?」という不安もよく聞きます。選考ではないと案内されていれば、合否はつきません。ただ、話した内容は担当者のメモに残り、選考に進んだときに面接官へ引き継がれることがある、と考えておくほうが安全です。うそはつかない。くだけすぎない。それだけ気をつければ、構える必要はありません。

カジュアル面談で聞きたいことの 1 位は「入社したら自分がする仕事」

ほかの人がカジュアル面談で何を聞きたいと思っているかは、調査で分かっています。20 代後半〜30 代に聞いた結果では、入社した場合に自分が行う仕事内容が 77.7% で最も多く、働きやすさ、一緒に働く社員の人柄や雰囲気が続きました[3]。

自分が行う仕事内容 77.7% 働きやすさ 67.5% 一緒に働く人 59.9% 自分のどこに興味が 48.2% 期待される役割 46.7% 20 代後半〜30 代、参加を希望する 197 人(複数回答、上位 5 つ)
カジュアル面談で聞きたいことは「入社した場合に自分が行う仕事内容」が最多(学情の調査、2025 年 1〜2 月[3])
数値を表で見る
カジュアル面談で聞きたいこと割合
入社した場合に自分が行う仕事内容77.7%
働きやすさ(オフィス環境・制度・福利厚生)67.5%
入社した場合、自分と一緒に働く社員の人柄や雰囲気59.9%
自分のどのような点に興味を持ってくれているか48.2%
入社した場合に期待される成果や役割46.7%

20 代の転職希望者に聞いた別の調査でも、上位 3 つは同じ順番でした(76.8%・65.2%・52.1%)[2]。会社の歴史や事業の全体像は、サイトを読めば分かります。面談でしか聞けないのは、「自分が入ったら、だれと、何をするのか」のほうです。

面談で志望度が上がるかどうかは、会社によってはっきり分かれます。カジュアル面談に参加した 20 代の 53.0% は「企業理解が進み、志望度が上がった」(「どちらかというと」を含む)と答えました[2]。一方、転職経験のある 934 人の調査では、65.0% が面談で志望度が下がった経験があると答えています[4]。下がったなら、それも 30 分で分かった大事な収穫です。

カジュアル面談で聞く質問の例 20

テーマごとに 4 つずつ並べました。全部は聞けないので、いちばん気になるテーマから 3〜5 個を選んでください。

なぜ今、この募集をしているのか

  • 今回の募集は、人が抜けたためですか、それとも人を増やすためですか
  • この仕事に、今いちばん足りていないのはどんなことですか
  • 入った人には、最初の 1 年でどうなっていてほしいですか
  • このポジションで、前にうまくいかなかった例があれば教えていただけますか

自分に声をかけた理由

  • 私のプロフィールの、どのあたりに興味を持っていただけましたか
  • 私の経験のうち、入社したらすぐに使えそうなのはどれですか
  • 逆に、入社してから身につける必要がありそうなことは何ですか
  • 同じ職種で活躍している方は、もともとどんな経験をしていましたか

入社したら最初の半年にすること

  • 入社して最初の 3 か月は、どんな仕事を担当することが多いですか
  • 一人で仕事を任されるまで、だいたいどのくらいかかっていますか
  • 最近入った方は、最初の 1 か月をどう過ごしていましたか
  • 1 年のうち、いちばん忙しくなるのはいつごろですか

チームと上司

  • 配属先のチームは何人で、どんな顔ぶれですか
  • 上司になる方は、どんな仕事の進め方をする方ですか
  • 仕事で困ったとき、チームの中ではまずだれに聞くことが多いですか
  • 働き方(出社・在宅、勤務時間)は、チームの中でどう決めていますか

選考の流れと、次の一歩

  • 選考に進むとしたら、どんな流れで、どのくらいの期間がかかりますか
  • 今日の面談の内容は、選考に進んだときに面接の方へ伝わりますか
  • 選考に進む前に、ほかの社員の方とも話す機会はいただけますか
  • 選考に進むかどうかは、いつまでにお伝えすればよいですか

1 つ目のテーマは、ほかではなかなか聞けない質問です。人が抜けた穴を埋める募集なら、前の人がなぜ辞めたのかに話がつながりやすく、新しく人を増やす募集なら、仕事がまだ決まりきっていないことがあります。どちらが良い悪いではなく、入ったあとの姿が変わります。

残業や職場の雰囲気のように、実態を確かめたいことの聞き方は、面接の逆質問の記事に 30 の例をまとめました。面接より気楽に聞けるカジュアル面談で、先に使ってしまってもかまいません。

話すことは、1 分の自己紹介と「なぜ話を聞きたいと思ったか」

カジュアル面談に、志望動機は要りません。まだ志望していないから面談をしているのです。その代わり、最初に自分のことを 1 分ほどで話せるようにしておくと、会社の側もあなたに合わせた話をしやすくなります。

今は食品メーカーで、法人向けの営業を 3 年しています。担当先を増やすより、一つのお客様と長く付き合う仕事に興味があって、転職を考え始めたところです。いただいたメッセージに既存のお客様の担当とあったので、どんな仕事なのかを詳しく伺いたいと思いました。

例: 転職を考え始めた 20 代の会社員の場合

今の仕事(学生なら学んでいること)、興味を持っていること、話を聞きたいと思った理由。この 3 つが入っていれば十分です。転職の時期をまだ決めていないなら、「良い会社があれば半年以内に」のように、そのまま伝えてかまいません。

反対に、聞かれても答えなくてよいこともあります。厚生労働省は、本籍・出生地、家族の職業や収入、住宅の状況、宗教、支持政党、尊敬する人物、愛読書などを、採用選考で尋ねないよう企業に求めています[5]。雑談の流れで聞かれたら、「家族のことは控えさせてください」と軽く流して、仕事の話に戻せば大丈夫です。

カジュアル面談の服装と、オンラインの準備

服装は、指定が無ければオフィスカジュアルにしておけば困りません。襟のあるシャツやブラウスに、季節に合わせてジャケットかカーディガン、くらいです。

  • 「服装は自由です」「私服で」と言われたとき: 清潔な普段着で大丈夫です。迷ったら、そのまま会社に出かけても浮かない服を選びます
  • スーツで行ってもよいか: 失礼にはなりません。ただ、会社の側がくだけた雰囲気を作ろうとしている場では、少し硬く見えることがあります
  • オンラインのとき: 上だけ整えれば十分です。顔が暗く映らないよう、窓を正面にするか、手元に明かりを置きます

オンラインなら、5 分前には入れるようにして、音声だけ先に確かめておきます。イヤホンを使ってかまいません。表示名は本名にし、聞きたいことのメモは画面の横に置いておくと、緊張しても聞き忘れません。

終わったら、選考に進むかどうかを期限までに伝える

カジュアル面談の最後に、たいてい「選考に進むかどうか、ご連絡ください」と言われます。その場で決めなくてかまいません。期限を確かめて、その日までにメールで伝えます。進まないと決めたときも、断ってよいのです。

【選考に進みたいとき】
本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
最初の 3 か月の仕事を具体的に伺えて、
自分の経験を使える場面が想像できました。
ぜひ選考に進ませていただきたく、
ご連絡しました。

【今回は見送るとき】
本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
お話を伺ったうえで考え、
今回は選考を見送らせていただきます。
丁寧にご説明いただき、ありがとうございました。

見送る理由は、書かなくても失礼にはなりません。書くなら、「今は〜の仕事を優先したいと考えた」のように、自分の側の理由にしておくと角が立ちません。

面談の前に、その会社の働く人の動画を見ておくと、30 分をもっと深い話に使えます。動画で就職では、気になる会社の動画から「話を聞いてみたい」で、応募の手前の連絡を企業に送れます(受け付けている会社のみ)。会社の側がカジュアル面談をどう組み立てているかは、姉妹サイトの企業側のカジュアル面談の進め方で読めます。面談で何を聞かれ、何を話してもらえるのかの見当がつきます。