一次面接の翌週、「慎重に選考を進めました結果、誠に残念ながら」で始まるメールが届く。理由は書いていない。思わず「一次面接 落ちる やばい」と検索してしまう。
先に書いておくと、一次面接で落ちるのは珍しいことではありません。面接官との相性で決まる部分もあります。ただ、一次面接で落ちる理由の多くは、話の中身の良し悪しより、聞かれたことに答えていない、具体的な場面が出てこない、といった直せるところにあります。面接官の手元にある評価シートを想像して準備すると、どこを直せばいいかが見えてきます。
一次面接で落ちるのはやばい? 面接を 8 社受けて、内定 1 社で終える人が多い
2027 年卒の学生に 2026 年 6 月に聞いた調査では、面接を受けた会社の数は平均 7.8 社でした。エントリーシートを出した会社は平均 10.8 社です[1]。
一方で、同じ 27 卒の内々定を持っている学生に聞いた別の調査では、持っている内々定は平均 1.7 社で、就職活動を終えた学生の約 6 割は内々定 1 社で終えていました[2]。調査は別々なので単純な引き算はできませんが、何社も面接を受けて、内定をもらうのは 1〜2 社、という流れがふつうだと分かります。途中のどこかの面接で落ちる経験は、ほとんどの人がしています。
だから、一次面接で 1 社落ちたことだけで、自分には向いていないと決める必要はありません。気にしてよいのは、続けて同じところで落ちているときです。そのときは、落ち方に共通点が無いかを見てください。共通点があれば、それは直せます。
一次面接で企業が見ているのは、経験の中身より、話が通じるかと人柄
企業が面接で何を見ているかは、書類選考と比べると分かりやすくなります。20 代の経験者・第二新卒の採用について人事担当者 295 人に聞いた 2026 年の調査では、書類選考で見る点は「経験した業務内容」78.4%、「経験した職種・業種」69.6% が上位でした。ところが面接になると、上位が入れ替わります[3]。
数値を表で見る
| 選考の段階 | 評価する点 | 割合 |
|---|---|---|
| 面接 | コミュニケーション力 | 75.2% |
| 面接 | 人柄・社風との相性 | 67.6% |
| 面接 | 仕事に対する姿勢や考え方 | 65.2% |
| 面接 | 経験した業務内容・実績 | 64.8% |
| 書類選考 | 経験した業務内容 | 78.4% |
| 書類選考 | 経験した職種・業種 | 69.6% |
| 書類選考 | 転職理由 | 46.8% |
| 書類選考 | 転職回数 | 45.6% |
| 書類選考 | 志望動機 | 41.6% |
経験は書類で見終わっていて、面接では「この人と話が通じるか」「うちの職場でやっていけそうか」を確かめている、ということです。これは転職の調査ですが、新卒の一次面接でも確かめていることは近いと私たちは考えています。新卒には書類で見る職歴が無いぶん、なおさら面接での受け答えが比重を持ちます。
ここで言う「コミュニケーション力」は、話がうまいことではありません。聞かれたことに、相手が分かる形で答えられるかです。緊張して言葉に詰まっても、問いに沿った答えが返ってくれば、面接官は点を付けられます。
面接官の手元には、質問と評価基準を書いたシートがある
面接は、面接官がその場の気分で合否を決めるものではありません。厚生労働省は企業に対して、面接では仕事に必要な適性・能力を評価する観点から、あらかじめ質問項目や評価基準を決めておくよう求めています[4]。全員に同じ質問をし、同じ基準で点を付ける面接を「構造化面接」といい、Google は答えの例を「不十分・ぎりぎり・十分・とても良い」の段階で書いた基準で採点するやり方を公開しています[5]。
会社によって形は違いますが、評価シートの 1 行は、たとえば次のようになっています。
見る力: 決めたことをやり切る / 質問: 自分で目標を決めて取り組み、途中でうまくいかなかったことは? / 5 点: つまずいた理由を自分で考え、やり方を変えた話ができる / 3 点: 続けたことは話せるが、何を変えたかが出てこない / 1 点: うまくいった結果だけで、途中の話が無い
例: 姉妹サイト「動画で採用」で企業向けに載せている評価基準表のひな形から
この 1 行を見ると、点が付く答えの条件がはっきりします。結果がすごいかどうかより、途中で何があり、自分が何をしたかが話せるかどうか。「サークルの代表として大会を成功させました」だけでは、どれだけ立派な結果でも 1 点の欄に入ってしまいます。
企業がこの評価基準表をどう作り、面接官にどう練習させているかは、姉妹サイトの面接官トレーニングと評価基準表の作り方に書いています。面接を受ける側から読んでも、何が見られているかの見当がつきます。
一次面接で落ちる理由は、たいてい「問いとずれた答え」と「場面の無い話」
評価シートの形から逆に考えると、一次面接でよくある落ち方は、だいたい次のどれかです。
- 聞かれたことと違うことに答えている。「苦労したことは?」に、うまくいった話を返す。用意してきた話を、問いに合わせずに話してしまう
- 結論が最後に来る。前置きが 1 分続き、面接官が何の話かを待っているうちに時間が過ぎる
- 具体的な場面が無い。「チームの意見をまとめました」で止まり、いつ、だれと、何をしたかが出てこない
- 深掘りで崩れる。2 回目の「なぜ?」「そのとき何をしましたか?」で話が変わる、または答えに詰まる
- 志望理由が、どの会社にも言える。「成長できる環境」「人の役に立ちたい」だけで、その会社を選んだ理由が無い
どれも、話の内容が劣っているわけではありません。同じ経験でも、問いに沿って、場面つきで話せば点が付きます。逆に、面接官の態度が冷たかった、雑談が少なかった、といったことは、それだけで落ちた理由とは限りません。
面接官によって評価は変わる。落ちた理由を全部、自分のせいにしなくていい
評価シートがあっても、面接官の評価は完全にはそろいません。採用面接の評価者どうしの一致を調べた 125 の結果をまとめた分析では、複数の面接官が同じ場で見たときの一致は平均 .74 でしたが、別々の面接官が別々に面接すると .44 まで下がりました(1 に近いほどそろう)[6]。同じ答えでも、別の日に別の面接官が聞いたら、評価が変わっていたかもしれない、ということです。
だから、落ちたあとの振り返りは、2 つに分けると楽になります。
- 自分で変えられること: 問いに答えたか、結論から話したか、場面が出たか、深掘りに答えられたか、その会社を選んだ理由を言えたか
- 自分では変えられないこと: 面接官との相性、その日の応募者の顔ぶれ、募集の人数
面接が終わったら、その日のうちに、聞かれた質問と自分の答えをメモに書き出してください。前者に当てはまるものが 1 つも無いなら、その一次面接は、運が悪かったと考えてよいと思います。
一次面接の対策は、3 つの質問を 1 分で答える準備から
一次面接でよく聞かれるのは、自己紹介、学生時代に打ち込んだこと(転職なら前の仕事で力を入れたこと)、志望理由の 3 つです。対策は、この 3 つを 1 分で答えられるようにすることから始めると、無理がありません。
- 3 つの質問の答えを、「結論・場面・いまにつながること」で書く
最初の 1 文で答えを言い、次にそれが分かる場面を 1 つ、最後にそれが入社後にどうつながるかを 1 文。読み上げて 1 分(300 字ほど)に収めます。
- 深掘りを 2 段、自分で用意する
「なぜそうしたのか」「うまくいかなかったことは」「ほかの人は何をしていたか」。書いた答えに対して、2 回続けて聞かれても答えられるかを確かめます。
- ES を読み返し、面接で足す話を決める
面接官は ES を読んだうえで、書いていないことを聞きます。ES と同じ話でかまいませんが、書ききれなかった場面や数字を 1 つ足せるようにしておきます。
- 志望理由に、その会社でしか言えない一言を入れる
仕事の中身、働く人、会社の方針のどれかで、ほかの会社には言えない理由を 1 つ。「選考はどう進む?」の問いから、その会社の人が選考や求める人について話している場面を見ておくと、材料が見つかります。
- 逆質問を 2 つと、Web 面接の環境を確かめる
逆質問の例は職場の実態が分かる逆質問の記事に、カメラの位置や光の整え方は録画面接のコツの記事にまとめています。
AI には面接官役をさせ、評価シートで採点してもらう
準備した答えは、声に出して、だれかに聞いてもらうのがいちばんです。相手がいないときは、ChatGPT や Claude などの AI を面接官役にできます。コツは、AI に答えを作らせるのではなく、評価シートを渡して、その基準で採点させることです。どこで点が付かなかったかが分かります。
あなたは、〔業界・職種〕の会社の一次面接の面接官です。
次の評価シートで、私の答えを採点してください。
【評価シート】
・聞かれたことに答えているか
・最初の 1 文で結論を言っているか
・いつ、だれと、何をしたかの場面が出ているか
・深掘りの質問に、話を変えずに答えられたか
・その会社を選んだ理由が、ほかの会社にも言える内容になっていないか
各項目を 1・3・5 点で付け、点の根拠になった私の発言を引用してください。
【進め方】
1. 「自己紹介」「学生時代に打ち込んだこと」「志望理由」を 1 問ずつ聞く
2. 私が答えたら、すぐに次へ行かず、深掘りの質問を 2 回続けて聞く
3. 3 問が終わったら採点し、いちばん点が低かった項目について、
私の答えのどこを直せばよいかを質問の形で教える(答えの文章は書かない)
【会社の情報】
〔求人票や会社の動画で分かったことを、自分の言葉で 3 行〕
AI の点は目安で、実際の面接官と同じ判断をするわけではありません。点の数字より、「根拠になった発言」で引用された自分の言葉を見てください。場面の無い答えは、引用できる言葉が少なくなります。氏名や大学名、応募先の社外秘の情報は入力しないでください。
深掘りに崩れない練習のやり方はAI 面接の対策の記事に、AI に ES や自己分析を手伝ってもらうときのプロンプトは就活 AI の使い方の記事に載せています。


