大学 3 年の秋。夏のインターンが終わったころから、「早期選考の案内が来た」という話が周りで聞こえ始めます。まだ何もしていないけれど、もう遅いのだろうか。28卒の就活スケジュールを調べるのは、たいていこのあたりです。

先に結論を書くと、28卒の就活には、ルールで決まった日程と、実際に動いている日程の 2 本があります。どちらで進むかは会社によって違います。だからこの冬は、焦って手当たりしだいに応募するより、受けたい会社の去年の日程を集めて、自分の 1 年を自分で組むほうが役に立つ、と私たちは考えています。

28卒とは、2028 年 3 月に卒業する、いまの大学 3 年生のこと

28卒とは、2028 年 3 月に大学や大学院を卒業・修了する予定の学年のことです。4 年制の大学なら 2024 年 4 月に入学した人で、2026 年 10 月のいま 3 年生。理系の大学院なら修士 1 年生がここに入ります。

ややこしいのが、年と年度の書き方です。政府の資料では、この学年を「2027(令和9)年度卒業・修了予定者」と書きます[1]。2027 年度の終わりの 2028 年 3 月に卒業するからです。「2027 年度卒」と「28卒」は同じ学年を指しています。

ニュースで「就活ルールの見直し」を見かけた人もいるかもしれません。政府が見直しを検討しているのは、2028 年度以降に卒業する学年、つまり 29卒からです[8]。28卒の日程は、2026 年 3 月に政府が要請したとおりで変わりません[1]。

ルールの上では、28卒の就活スケジュールは「3 月・6 月・10 月」

政府は 2026 年 3 月 24 日、28卒の就職・採用活動について、次の日程を守るよう経済団体に求めました[1]。法律で決まった期限ではなく、企業へのお願いです。

28卒の就活のルール(政府の要請)
日付始まること中身
2027 年 3 月 1 日〜広報活動就職情報サイトや採用サイトでの登録の受付、会社説明会など
2027 年 6 月 1 日〜採用選考活動日時と場所(オンラインを含む)を決めて行う面接や試験
2027 年 10 月 1 日〜正式な内定企業が正式な内定を出せる日

この表には、読み落としやすい注があります。要請の文書では、エントリーシートの提出や Web テスト・テストセンターの受検は、学生がいつ受けるかを選べるので「採用選考活動とは区別する」とされています[1]。つまり ES と Web テストは、6 月より前に求められることがあります。冬のうちに ES の下書きと Web テストの練習を始めておくと、3 月に慌てずに済みます。

5 日以上のインターンシップは、採用につながりうる

もう 1 つ知っておきたいのが、インターンシップの種類です。文部科学省・厚生労働省・経済産業省の考え方では、学生のキャリア形成の取り組みを 4 つに分けていて、インターンシップと呼べるのはそのうち 2 つだけです[3]。1 日の会社説明のようなものは「オープン・カンパニー」で、インターンシップには入りません。

大学 3 年生の長い休みに行われるのは、おもに「汎用型能力・専門活用型インターンシップ」です。期間の半分を超える日数を職場での仕事の体験にあて、社員が指導して最後にフィードバックをする、5 日以上(専門活用型は 2 週間以上)のプログラムを指します[3]。企業はこの形のインターンシップで得た学生の情報に限って、3 月以降は広報に、6 月以降は採用選考に使えます[3]。さらに、春休み以降に行われる専門活用型に参加して、高い専門性があると判断された学生は、6 月より前に選考へ進めるという例外があります[2]。

募集要項に「採用活動の開始以降に、インターンシップで得た情報を使う」と書いてあれば、そのプログラムは採用とつながっている、と読めます[3]。応募する前に要項のその欄を見ておくと、参加する意味がはっきりします。

先輩の 27卒は、3 月 1 日にはもう半分が内定を持っていた

ルールとは別に、実際の日程はかなり前に進んでいます。ひとつ上の 27卒の学生モニターに毎月聞いた調査では、内定(内々定を含む)を得た人は 1 月 1 日の時点で 34.6%、広報が始まる 3 月 1 日で 51.7%、選考が解禁される 6 月 1 日には 81.2% でした[6]。

0% 50% 100% 34.6 46.6 51.7 67.6 76.0 81.2 1/1 2/1 3/1 4/1 5/1 6/1 広報解禁 選考解禁
27卒の内定率(各月 1 日時点)。広報解禁の 3 月 1 日には半分を超え、選考解禁の 6 月 1 日には 8 割に(キャリタス「2027年卒 6月1日時点の就職活動調査」[6])
数値を表で見る
時点(2026 年)27卒の内定率
1 月 1 日34.6%
2 月 1 日46.6%
3 月 1 日51.7%
4 月 1 日67.6%
5 月 1 日76.0%
6 月 1 日81.2%

早さの背景にあるのは、インターンシップ等のあとの早期選考です。同じ 27卒の 1 月 1 日の調査で、インターンシップ等に参加した学生の 85.4% が早期選考の案内を受けたことがあると答え、実際に選考を受けた時期は 12 月が 60.2% で最も多くなりました[5]。内閣府が 2025 年に 26卒(当時の 4 年生など)に聞いた調査でも、最初の面接を 2 月までに受けた学生が約 7 割、最初の内々定のピークは 3 月でした[7]。企業の側がなぜ早く動くのかは、姉妹サイトの企業向けにまとめた 28卒の採用スケジュールに書いています。

ただ、この数字を「冬までに内定がないと終わり」と読む必要はありません。6 月 1 日の時点でも、27卒の 43.0% はまだ活動を続けていて、そのうち 18.8% は内定のない人でした[6]。内定を持っている人の多くも 1 社に決めておらず、内定の数は平均 2.4 社です[6]。早く進む会社と、ルールの日程で進む会社が混ざっている。28卒の 1 年は、その 2 本を並べて見るとつかみやすくなります。

28卒の就活の 1 年を、2026 年 10 月から 2028 年 4 月まで 4 つの時期に分け、ルールの日程・先輩の実際・この時期にやることを並べた図
28卒の 1 年。ルールの日程と、先輩の実際の数字は、同じ時期に並べると差が見える

いまから 2 月まで:受けたい会社の「去年の日程」を集める

2026 年 10 月から 2027 年 2 月は、秋冬のインターンシップと早期選考が重なる時期です。28卒に 9 月後半に聞いた調査では、これから参加したい時期は 11 月が 78.7%、12 月が 74.1% と年内に集まっていました[4]。一方で、志望業界が「明確に決まっている」人は 28.8% で、半分は「なんとなく」でした[4]。決まっていないのは、この時期では普通のことです。

この時期にいちばん効くのは、気になる会社が去年どう動いたかを調べることです。27卒は 1 月 1 日の時点で約 7 割(69.9%)が本命の会社の選考の日程を知っていました[5]。28卒も、企業を探すときに「前年度の採用プロセスと選考方法」を知りたい人が文理とも半数を超えています[4]。順番に並べると、次のようになります。

  1. 気になる会社を 5〜10 社書き出す

    業界が決まっていなくてかまいません。夏に参加した会社、名前を知っている会社、友人が受けている会社で十分です。

  2. 各社の去年の日程を調べる

    採用サイトの「選考の流れ」、去年のインターンシップの募集要項、大学のキャリアセンターにある先輩の報告書で、早期選考があったか、本選考は何月だったかを確かめます。会社ごとに「早い組」と「ルールどおりの組」に分けておくと、冬の予定が立てやすくなります。

  3. 早い組の会社は、冬のプログラムに申し込む

    募集要項で、5 日以上か、採用に情報を使うと書いてあるかを見ます。1 日のオープン・カンパニーは、業界を知るために使うと割り切ってかまいません。

  4. ES の下書きと Web テストの練習を始める

    前の章のとおり、どちらも 6 月より前に求められることがあります。ES の下書きを AI に手伝ってもらうなら、AI に書かせずに質問してもらうプロンプトを使うと、自分の言葉が残ります。

  5. 早期選考の案内が来たら、受けるかを決める基準を作っておく

    「行きたい業界の会社なら受ける」「授業やゼミと重なるなら日程を相談する」のように、先に決めておくと、案内が来るたびに迷わずに済みます。

会社のことを知る材料は、募集要項と説明会だけではありません。働いている人が自分の言葉で仕事の話をしている動画は、職場の雰囲気や仕事の大変さを、文字よりもつかみやすくしてくれます。動画で就職では、「残業は実際どう?」のような知りたいことから、働く人がその話をしている場面を探して、そこから再生できます。

3 月から 5 月は、エントリーと面接が重なるので授業の予定と並べて組む

2027 年 3 月 1 日に広報が解禁されると、就職情報サイトでのエントリーと会社説明会が一気に始まります。早い組の会社の面接はもう進んでいて、先ほどの内閣府の調査では、最初の内々定を受けた時期で最も多いのも 3 月でした[7]。4 月からは 4 年生の授業も始まり、エントリー・説明会・面接と同じ週に重なりがちです。

ここで使えるのが、政府の要請にある学業への配慮です。企業は、授業・ゼミ・実験・試験・教育実習と重ならないよう、土日や平日の夕方以降、長い休みの時期に面接や試験を行うよう求められています[1]。面接の日がゼミと重なったら、日程を変えてもらえないか聞いてかまいません。聞いたことで不利になるような会社なら、入ってからの働き方もそこから想像できます。

面接の形も確かめておきます。最初の面接を録画やオンライン、AI 面接で行う会社もあります。AI 面接で見られることと前日の準備を一度読んでおくと、初めての形式でも落ち着いて受けられます。

6 月から 10 月は、内定があっても無くても、決め方は同じ

2027 年 6 月 1 日に選考が解禁され、10 月 1 日に正式な内定が出ます。この時期に内定がある人は「どこに決めるか」、まだの人は「どこを受けるか」で悩みます。立場は違っても、決めるために確かめることは同じです。働く時間、一緒に働く人、仕事の中身、入社後の育ち方。冬に集めた情報が、ここで効いてきます。

迷うときは、会社が出している数字を確かめるところから始めると、印象だけで決めずに済みます。新卒の募集では、応募した人や応募しようとしている人が求めれば、企業は過去 3 年の新卒の採用者数と離職者数、月平均の残業時間などの職場の情報を出すことが法律で義務になっています。ただし、どの項目を出すかは企業が選べます[9]。確かめ方は求人票と公的なデータで職場を見極める方法にまとめました。

「ほかの会社の選考をやめて」と言われたら

内定と引き換えに、ほかの会社への就職活動をやめるよう迫ることは「オワハラ」と呼ばれ、政府は企業に行わないよう求めています。内定の承諾に保護者の同意を強く求めることも、これに当たる場合があります[1]。その場で返事をせず、大学のキャリアセンターか、ハローワーク(都道府県労働局)に相談してください[1]。

卒業までに決まらなかったとしても、道は閉じません。政府は企業に、卒業後少なくとも 3 年以内の既卒者が新卒の枠に応募できるようにすることを求めています[1]。急いで合わない会社に決めるより、その時点で確かめられることを確かめてから選ぶほうが、入ってからのずれは小さくなります。